歯ぎしり・食いしばりはお早めにご相談を
歯ぎしり、食いしばりはブラキシズムと呼ばれ、口腔内の悪習慣の1つとされています。
約10%の方がしているといわれていますが、本人は気づかないことも多く、ご家族に指摘されて初めて気づくというケースもあります。
原因はさまざまあり、心因的な理由も多くみられることから、治療のむずかしい症状といわれています。
痛みがあるわけではない場合、治療は不必要と考える方もいらっしゃいます。
しかし、歯ぎしり・食いしばりは、顎関節症といったほかの病気にもつながりやすいと考えられています。
ご家族から受けたときは、お早めにご相談ください。
原因を探りながら、負担の軽減を図る治療を並行して行います。
Contents目次
こんなお悩みありませんか?
- 歯ぎしりがくせになっている
- 歯が欠けている
- 歯にひびが入っている
- 食いしばりの原因を知りたい
- 歯ぎしりをやめたい
- 歯医者で対処してほしい
歯ぎしり・食いしばりについて
歯ぎしり・食いしばりとは
歯ぎしり、食いしばりはおもに睡眠中に起こります。
健康な方で一晩に1回ほど、10分程度は歯ぎしりをしているといわれます。
一方で病的といわれる歯ぎしりをする方は、1時間以上、毎晩のように歯ぎしりをする傾向にあります。
とくに睡眠中は力をセーブする機能がうまく働かないため、普段の数倍~10倍の力で歯ぎしりや食いしばりをすると考えられています。
覚醒時にする食いしばりよりも強い力を、無意識に長時間かけています。
このような歯ぎしり、食いしばりがどのようなメカニズムで起こるかについて、正確なところはわかっていません。
ストレスによるものが大半ではないかといわれていますが、最近では睡眠時無呼吸症候群との関連も指摘され始めています。
睡眠に障害が出るだけではなく、さまざまな病気につながる可能性もあるため、ご家族に指摘されたら早めに歯医者を受診しましょう。
原因
●ストレス
ストレスは歯ぎしり・食いしばりの原因の大半を占めているといわれています。
歯ぎしりをすることでストレスを解消している可能性も指摘されています。
そのため、ストレスのもとをたどって解消し、自然と歯ぎしり・食いしばりがやめることが重要です。
しかし、「歯の摩耗を起こしている」、「顎関節症の摩耗の原因になっている」場合はすぐに対策を行う必要があります。
●歯並び
歯並びが悪いと、歯ぎしり・食いしばりが起こることがあります。
1本だけ強く当たっている歯がある場合や、詰め物や被せ物によってかみ合わせが変わる場合でも起こります。
また、歯医者での治療後、かみ合わせが変わることによって引き起こされる可能性もあります。
●枕があわない
枕が高すぎると歯ぎしりにつながることがあります。
高すぎる枕であおむけに寝ると、必要以上に顎を引いてしまいます。
顎の引けた状態は気道を狭くし、呼吸をしづらくするといわれています。
そのため、睡眠が浅くなり、歯ぎしりにつながっている可能性も考えられます。
●集中している時間が長い
睡眠時でなくとも、歯ぎしり・食いしばり行ってしまうケースもあります。
本来起床時は、人間の歯はほとんど当たっている時間がないといわれています。
しかし、重たいものを運ぶときのような力を入れるときや、集中しているときは歯をかみしめる傾向にあります。
睡眠時のようにコントロールのきかない強い力でかみしめをしてしまうと、歯ぎしり・食いしばりをしているときと同じような症状が出る可能性があります。
種類
●歯のこすり合わせ(グラインディング)
もっとも多くみられる歯ぎしり・食いしばりが、歯をぎりぎりとこすり合わせるグラインディングです。
上下の歯を非常に強くかんだ状態で左右に動かすため、顎や歯にかなりの負担をかけるといわれています。
歯がすり減って平らになる場合や、歯周病を悪化させる場合もあり、注意が必要です。
ご家族やパートナーの方にも気づかれることもありますが、音を立てずにグラインディングをする方もいらっしゃいます。
●歯のかみしめや食いしばり(クレンチング)
上下の歯を強く食いしばるものがクレンチングです。
グラインディングと異なり、左右にぎりぎりとこすり合わせることはありませんが、ぎゅっと強くかみしめることで、歯や顎の負担になるといわれています。
音がほとんどしないため、家族やパートナーに気づかれにくく、歯ぎしりをしていると認識されにくいという特徴もあります。
●歯を鳴らす(タッピング)
上下の歯をこつこつと連続的にかみ合わせるタイプの歯ぎしりです。
こきざみに震えているようなものから、リズミカルに上下の歯を鳴らすものもあります。
グラインディングやクレンチングよりは歯や顎の負担がかかりにくく、この歯ぎしりをする方が少ないことも特徴です。
歯ぎしり・食いしばりが及ぼす悪影響
歯ぎしり・食いしばりには、ストレス解消になっているという良い面もあります。
しかし、悪習慣の1つとされていることからもわかるように、歯がすり減ってしまうだけではない、さまざまな悪影響が及ぶ可能性があります。
歯ぎしり・食いしばりは、おもに睡眠時に起こるため、悪習慣だとわかっても自分の意識だけでは止めることができません。
普段なら出せない力で行ってしまうことも問題とされています。
歯ぎしり・食いしばりによって起こる症状は次のとおりです。
●歯が割れる
強い力によって歯が割れてしまうことがあります。
歯は横によりも縦に割れやすく、グラインディングのような力のかかり方に弱い傾向があります。
強く当たっている歯はとくに注意が必要です。
また、詰め物をして高さが変わった歯にも注意しましょう。
その歯だけ強いダメージを受けてしまい、割れてしまう可能性があります。
●歯の根にひびが入る
しっかりと割れなくても、強い力により根っこ付近にひびが入るケースもあります。
この場合、痛みを感じないこともあり、放置してしまうと周囲の炎症の原因になるといわれています。
●歯槽骨への影響
歯ぎしり・食いしばりは歯槽骨にも影響を及ぼす可能性があります。
歯ぎしり・食いしばりをしている患者さまには、歯槽骨の吸収と増生が極端なケースが多くみられます。
力がかかることで、その歯の周囲の歯槽骨は吸収を始め、そのほかの部分では増生によって隆起することもあります。
パノラマ撮影を行うと、歯槽骨が全体的に波打つように写るといわれています。
吸収のある部分とそうでない部分が極端に分かれた結果と考えられます。
●詰め物が取れやすい
歯ぎしり・食いしばりを行うことで、詰め物も取れやすくなります。
詰め物は人工的な接着剤のようなもので口腔内に固定されているため、天然の歯よりも力がかかることに弱く、外れてしまう可能性があります。
●顎関節症を引き起こす
強い力は顎関節にもかかるため、顎関節症につながります。
また、骨にかかる力だけが顎関節症を引き起こしているわけではなく、まわりの筋肉の緊張も顎関節症に深くかかわっているとされています。
「えらが張っている方(咬筋が発達している方)は歯ぎしりをしている可能性がある」といわれるぐらい、歯ぎしり・食いしばりは周囲の筋肉にも影響を与えています。
顎関節症は一度発症すると再発しやすい病気です。
歯ぎしりによる影響で顎関節症にならないように注意しましょう。
歯ぎしり・食いしばりの対処法
ストレスを減らす
自分で行える対処法として、ストレスを軽減させることが挙げられます。
休息、適度な気分転換、ウォーキング、ストレッチなどを生活に取り入れることがおすすめです。
当院でも生活指導を行い、解決法をみつけるお手伝いをさせていただきます。
マッサージ
かむときに使う筋肉の緊張をマッサージでほぐすこともおすすめです。
マッサージする筋肉は、「咬筋」や「側頭筋」です。
咬筋は、えらの脇、かみしめたときに盛り上がるところにあります。
円を描くように数分マッサージしてみましょう。
側頭筋は、こめかみのあたり、かみしめたときに盛り上がるところにあります。
こちらも、円を描くように数分マッサージしてみましょう。
歯ぎしり・食いしばりをして筋肉が緊張し、筋肉が緊張しているからさらに歯ぎしり・食いしばりをしてしまうという悪循環を抜け出すためにも、マッサージは効果的です。
病気の治療
鼻の病気や睡眠時無呼吸症候群など、呼吸に関連する病気と歯ぎしり・食いしばりとの関連性が指摘されています。
また、かみ合わせが悪いといった口腔内由来の原因も考えられます。
歯ぎしりと関連のありそうな気になる病気があればご相談ください。
歯ぎしり・食いしばりに
対する治療方法
マウスピース
歯医者で行える一番の治療法は、睡眠時にマウスピースをご使用いただくことです。
お一人おひとりの口腔にあわせた形でマウスピースを作製します。
一般的には上顎のみですが、正しい顎の位置に誘導するための上下顎用のマウスピースもおつくりしています。
ハードタイプとソフトタイプがあります。
マウスピースを入れるメリットとして、次の3つが挙げられます。
・歯ぎしり食いしばりの力を弱める
・歯や筋肉を保護が期待できる
・マウスピースのすり減りにより歯ぎしりをしているかどうかがわかる
たとえば、重い顎関節症で原因がわからないという場合、夜間にマウスピースをつけていただき、マウスピースのすり減りで歯ぎしりの度合いを確認します。
歯医者でつくったものは歯医者で調整が可能なため、市販のマウスピースより違和感なく使用することが見込めます。
●小児
小児の場合は成人と異なり、永久歯のスペースをつくるためや、顎の位置を決めるために歯ぎしりが起こる場合があります。
生理的なものも多く、問題ないケースがほとんどですか、心配な場合はマウスピースを作製することができます。
ストップウォッチの使用
覚醒時のかみしめが強い場合、ストップウォッチといった時間の計れるものを使用し、一定の時間ごとに音を鳴らしましょう。
かみしめは無意識で行われていることが多いため、ストップウォッチの音でかんでしまっている上下の歯を離すようにします。
劇的に歯ぎしり・食いしばりを改善する方法ではありませんが、意識することでかみしめの防止につながります。
矯正やかみ合わせの治療
かみ合わせの悪さが歯ぎしりを引き起こしている場合、矯正やかみ合わせの治療を行います。
マウスピースの使用と併用することで、負担を軽減しながら矯正やかみ合わせの治療を行うことが期待できます。
よくある質問
-
歯ぎしりの負担を減らす方法はありますか。
-
マウスピースや食いしばりをご自分で意識していただく方法で軽減することが期待できます。
歯ぎしりの原因は多岐に渡るため、一度歯医者で検査、レントゲン撮影をされることをおすすめします。
-
寝ているときの歯ぎしりを
なくすことはできるのでしょうか。 -
ストレスやかみ合わせの悪さ、鼻の病気などでも歯ぎしりが誘発されることがあります。
それらの問題が解決すれば自然と治まるケースもあります。
-
子どもの歯ぎしりが気になります。
-
小さいころから歯ぎしりをするくせがあるお子様も多くいらっしゃいます。
原因も対処法もさまざまなので、一度当院にご相談ください。
-
寝ているときにマウスピースを外してしまいます。
-
最初のころ慣れないうちはそのようなことがあるかもしれません。
長期間つけ続けていても外してしまう場合は、何か問題が起こっている可能性もあります。
当院までご来院のうえご相談ください。
-
虫歯もない歯に痛みが出てしまいました。
歯ぎしりや食いしばりは関係ありますか。 -
歯ぎしり、食いしばりで歯が欠けたり割れたりすることがあります。
また、欠けや割れが出なくても、強い力がかかり続けることで歯根や歯槽骨に炎症が起きる場合もあります。
Doctor's messageドクターメッセージ
些細なことのように見える食いしばりや歯ぎしりですが、歯や顎に想像以上に負担が掛かっています。
歯ぎしりや食いしばりで加わる力は、患者さまが考えているより想像以上で、歯がすり減るだけでなく、歯が割れたり歯根が折れたりすることも多くあります。
そのため、食いしばりも歯ぎしりも見過ごさず、治療が必要です。
当院では、ナイトガードやボツリヌス注射など、ライフスタイルに合わせた治療法を多数ご用意しています。
エス歯科クリニック横浜みなとみらい院 院長
首藤 真一
最適かつ高精度な治療を
みなさまに
エス歯科グループでは、豊富な知識と経験を積んだドクターが
あなたに合った最適かつ高精度な治療を提供いたします。
機能的治療から審美的治療までお口に関するお悩みは何でもご相談ください。
監修者情報
- エス歯科クリニック 横浜みなとみらい 院長 首藤 真一
- 資 格:歯科医師
出身大学:国立九州大学
▼メッセージ
「エス歯科グループでは他院で難しいといわれた症例あるいは、失敗した症例でも数多く成功させてきました。
その医療技術を神奈川全域、ひいては日本全国の歯でお困りの方に提供するため、アクセスしやすい横浜みなとみらいの地を選び開業しました。
皆様の歯にとって「最後の砦」になるべく、先進の医療技術、最先端の医療設備を駆使して治療に臨みます。
他院で難しいといわれた場合でもぜひ相談にお越しください。
資格 Qualification
ドクターコメント Doctor comment
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